大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ネ)2213号 判決

控訴人は右競買の申出は要素の錯誤により無効であると主張するので次にこの点について判断する。

本件建物の敷地が昭和二十五年三月二日建設省告示第一一二号により告示された都市計画決定により東京都市計画街路(放射第五号)の境域内に存することは当事者間に争がない。しかし、証拠によれば右都市計画決定は昭和二十五年三月二日になされた侭昭和三十六年十月当時において都市計画事業決定はされていず、現在においてもいまだ前記計画に基く土地区画整理事業は施行の運びになつていない(都市計画法第三条、土地区画整理法第三条第三、四項参照)ことが窺われ、本件建物を早急に除却もしくは移転しなければならないものとは認められない。従つて右建物の譲受人は、その敷地の使用につき土地所有者の承諾を得れば、将来都市計画事業が現実に行われることになつても、それまでは一般の建物譲受人と同様建物を使用し得るわけであり、また土地区画整理事業の施行により建物の除却もしくは移転を余儀なくされる場合にはその損失の補償もしくは換地につき従前の土地の使用権に応じた権利が得られるのであつて建物の譲受及びこれに伴う使用権の取得が無に帰するということにもならないのである。(建物の敷地の使用権の取得につき土地所有者の承諾が得られるかどうかの問題はあるが、これはもとより控訴人主張の都市計画と関係はなく、本件に特有の問題ではない。)よつて右都市計画決定のあつたことから、直ちに本件競買申出に要素の錯誤があるとは断じ難い。なお控訴人は右競買申出は本件建物を直ちにかつ恒久的に使用する目的で買受けたものであるところ、前記都市計画によりその目的を達し得ないことが明らかである旨主張するけれども、右控訴人主張の点はいわゆる法律行為の動機に過ぎないものというべきであり、本件任意競売において目的建物の敷地につき都市計画決定がなされているかどうか、これに基き将来都市計画事業の行わるべきものかどうかを示して競売を実施したことも認められないし(建物の競売手続においては当該建物を現状の侭競売に付するもので、公告その他の方法によりその敷地につき前記のような事実の存否まで示さなければならないものでもない)、控訴人の競買申出もこれに対応してなされたもので、本件全証拠によるも前記控訴人主張の動機が表示されたものとは認められない。従つて右控訴人主張の点から本件競買の申出が要素の錯誤により無効であるともいえず、右抗弁は採用できない。

(梶村 室伏 安岡)

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